人生30年経過!

人生30年経過しました。仕事のこと、好きなもののこと書き綴ります。

友人に手のモデルをお願いしたいと言われて・・・

私には広告業界で働く友人(男性)がいます。その友人は、電通博報堂に勤めたかったのですが、狭き門をくぐることが出来ず下請けの制作会社に勤め、その後同じ業界で転職しました。CM等の映像の仕事をしているそうですが、異業種の私にはよくわかりません。いや、異業種の私どころか彼自身も、「時々何やっているのか自分でもわからなくなるんだよな。」とぼやいていました。社会人になってから謎の多い男になりました。よくわからない仕事によくわからない生活を送っていることもあって、その友人とは疎遠になっていきました。

 

ある日のことです。

実に数年ぶりにその友人から連絡がきました。

「ムミ女のKにお願いしたいことがあるんだ。

明日○○駅の近くで撮影をするんだけど、女性の手が必要なんだ。

どうしても男性の手ではだめなんだ。

ちょっとした謝礼は出るから、やってくれないかな?」

久しく会っていなかったので躊躇しましたが、学生時代お世話になった友人の一人でもあったので承諾しました。

 

翌日、友人指定の待ち合わせ場所に行くと、黒い怪しげなボックスカーの中から友人と知らない二人の男が出現しました。

「これから準備なんだ。寒いと思うから車の中で待ってて。」

(え?この怪しい車に乗るの?大丈夫?)

一抹の不安を感じながらも、「学生時代良いやつだった。悪いことはしないはずだ。」と必死に自分に言い聞かせ、意を決して乗りました。友人はそのまま車の外で何やら機材の確認を行っています。おそらく撮影の準備にとりかかっているのでしょう。知らない二人の男はどうやら同僚のようですが、一般的なサラリーマンとはかけ離れた姿をし、胡散臭さが漂っていました。

黒い怪しげなボックスカーでこれまた胡散臭げな運転手と二人、準備が終わるのを待ちました。車内に社名が載った掲示物があったので、ググってみました。どうやら車と運転手はレンタルのようです。これから仕事に協力するというのに社名もわからないとは何ぞやと思いながら、胡散臭い運転手と気まずい時間を過ごしました。

 

「お待たせ。準備が出来たから、駅ビルに行こう。何をしてほしいかまだ話してなかったね。ムミ女のKには、音姫を押して欲しいんだ。」

 

(!?!?!?!?!?!?!?!?)

 

私たちは四人は、職員通用口から中に入りました。開店前なので、中にお客さんは居ませんでした。

トイレにむかいました。女子トイレに躊躇なく入る男たち。「開店30分前だから、急ごう!」カメラ等の撮影器具を設置しています。

私の出番が訪れました。

女子トイレの個室に何やら仰々しいカメラが設置されています。

「この角度から押して欲しい。」

友人の指示通りに音姫を押しました。周りがしーんと静まり返り、音姫の最後の音が鳴り終わると、

「いいね~」と男たちが声を揃えて言います。

(こ、怖い…)

恐怖と不快感を感じながらも、私は男たちの要求通りに音姫を押し続けました。

しばらくすると男たちは満足し、私は音姫をひたすら押すという拷問から解放されました。

 

きちんと謝礼をいただき、映像はあの有名な某教育テレビで使われ、私の手は全国デビューを果したそうです。

ただ、私は実際の映像を見ていませんし、今後見ることはないでしょう。

そしてその友人からの頼みは一生承けないと心に誓いました。

 

おしまい。