ちょっと変わったクラスメイトは世界を広げてくれる。「たかこ」清水真裕・作
(ムミンブルーな日々からお引越し記事となります。初稿2019年2月2日)
前回に引き続き絵本テキスト大賞受賞作品である絵本をとりあげます☆
「たかこ」 清水真裕・作/青山友美・絵
主人公の「ぼく」のクラスに、ある日転校生がやってきた。その名は「たかこ」。
小学生なのに・・・そもそもここは21世紀なのに、平安時代の十二単を着たちょっと変わった女の子。
一体、だれが着付けを・・・!?という謎はさておき、
言葉づかいも古典の授業か!と突っ込みどころ満載、顔を扇で隠すという謎行動、
そして負けず嫌いでお高くとまった「たかこ」がクラスの皆に嫌われはじめて・・・!?
変わり者が浮いちゃうのはよくある話
読み始めてすぐに、「あ~、この子クラスで浮いちゃう、下手するといじめられるだろうなあ」と思った。
そしてやはり予想通りの展開☆
なんか皆と違う服を着ているし、喋り方も変わってるし、
そんでもって負けず嫌いで、お高くとまっているとなると、普通だったら嫌われちゃう。
私も会社にそんな奴いたら、まず近寄らない。
いじめられるか、受け入れられるかどっちに転ぶかわからないものである。
特に学生時代は、「たかこ」みたいな変わり者っていじめられるか、受け入れられるかどっちに転ぶかわからない。
最初はいじめていたのに、何かのきっかけで仲良くなったり、逆に最初は仲良くしていたのに、何かのきっかけでいじめたり。
そういうことって、多いと思う。
特に子ども社会は。
変わり者がいるって実はいい。
あることがきっかけで「たかこ」はまたクラスで楽しく過ごせるようになった。
そのきっかけの展開が、とても斬新なのがこの絵本の見どころだと思う。
そして、「たかこ」がクラスに受け入れられるようになったことについては多くを語らずに言い現わしている点もいい。
子どもたちの人間関係の推移のようなものをうまく表現していると思う。
大人になってちょっと忘れていたけど、変わり者がいるって実はいい。
自分が知らないことを知っているので、接していくと自分の世界が広がる。
そして実は良い人だと気づいたときは、嬉しくなるし、自分の未熟さを反省したりする。
それに変わり者で良いんだなって妙な安心感を与えてくれる。
私も本当は変わり者なのだと思う。
「たかこ」はクラスのみんなにとって、確実にいい影響を与えた女の子だった。