忙殺される日々に自分を見失った人に読んでほしい いせひでこの「最初の質問」
(ムミンブルーな日々からお引越し記事となります。初稿2018年8月20日)
言葉ってすごい。
わたしが「最初の質問」に出会ったのは、長野にある森のおうちちいさな絵本美術館に行ったときだった。
いせひでこ展をやっていた。その時までいせひでこという絵本作家を知らなかった。
はじめて観たいせひでこの作品は身体に鋭く刺さった。その時の私にはなぜかとても痛かった。
研ぎ澄まされた、繊細な青。
そして長田弘の詩。
いせひでこの原画とともに一文一文読みすすめていく。とても静かな自分だけの時間。
最初の質問という題名どおり、ひたすらに質問が繰り返される。そして最後にのみ、たったの一つだけ主張がされる。
読み終わったとき、「ああ、私は生をないがしろにしている」と思った。
自分の生を。
地球に生きる生命として
社会に生きる人間として
どう生きるべきかどう生きるのか。
そんなことを問われている気がした。
日々に忙殺され、思考を必要としない娯楽で日々を満たす。
そんななかで出会った「最初の質問」は私にとって一生のものになると思った。
人が人に何かを伝えるとき、多くの人は自分の経験から得た教訓や信念を語るので、どうしても説教じみてしまう。
私はそれがとても苦手で、「うるさい。あなたに何がわかるの?年上だからって人生の先輩面しないで。」と内心思ってしまう。
独りよがりに聞こえて、心に響かない。むしろうんざりして、逆に心を消耗してしまう。
そんな私にとって、意見を押し付けられるのではなく、質問というかたちで問われることが新鮮で、欲していたかたちだったのだと今となって思う。
言葉は使い方次第でいろんな側面を見せる。
言葉ってすごい。
詩ってすごいと思った。
「最初の質問」は国語の教科書でも取り上げられているのようなので、昔教科書で読んだ人も多いと思う。
ぜひ、いせひでこの研ぎ澄まされた絵と一緒に読んでほしい。